GWのアップライトピアノ大修理
こんばんは!野川の丘ピアノです。
今日はGW中にご依頼頂いた修理について書きたいと思います。
新環境での修理
急ぎ修理のご依頼だったため、GW中は開業後の事務作業をやりつつ、ほとんどヤマハアップライトの修理をしていました。何しろお子さんがこれからピアノコンクールに出場されるということで、相当良い状態に仕上げなければなりませんでした。
事前にお打ち合わせして、GWが始まると同時にアクション・鍵盤・筬(おさ)などお預かり、
GW明けまでに納品・仕上げをするスケジュールを組むことになり、なかなかやりがいのある修理となりました。
独立して新環境になったばかりだということもあり、自宅工房の使い勝手などがまだよくわかっていなかったのですが、納期が決定しているので無心に作業を進めました。
今回の修理ではご予算に併せて2パターンのお見積りをご案内して、現時点で消耗している部品を全て交換してしまう修理と整音・整調までをご依頼頂きました。独立開業してすぐに大変ありがたいことです!
ちなみに今回のように修理中、ピアノが弾けなくなってしまう場合は、YAMAHA電子ピアノ(88鍵)の無料貸レンタルを行っていますので、ご安心ください!最近の電子ピアノはなかなかタッチも良いですよー。
交換部品
昔、奥様が弾いていた時にタッチを重くしてほしいと当時の調律師に依頼したそうで、タッチの調整がかなり重くなってしまっていたため、(しかも不具合まで出ていた)小学生低学年のお子さんにはかなり重めで弾きにくい鍵盤でした。
修理した部品ですが、まず連打性を向上させるためにスプリング関係の部品を交換しました。
↑ バットスプリング交換
ハンマーバットスプリングは劣化してバネの力が弱くなっていたり、曲がってしまっていることが多いので、交換をすることで連打性が一気に上がります。バネと一緒にフレンジコードというヤマハ定番の交換部品も交換しています。
↑ ジャックスプリング
こちらはジャックスプリングといいますが、劣化してくると一度打鍵した後に次の音が出にくくなったり、トリルなどがやりにくくなるため、こちらも交換することで劇的にタッチが良くなります。
↑ ブライドルテープ貼り替え
こちらブライドルテープ(赤と白)という部品です。赤いチップの部分の穴が広がると雑音が発生したり、劣化が激しい場合はテープがちぎれて音が出なくなります。新しくすると見た目も綺麗ですね!
修理がしやすいように部品を引っかけられるように工夫したり・・・ まだまだやりやすいように改良が必要です…
↑ 鍵盤ピン研磨
鍵盤の土台になっている筬(おさ)も引き取ってきて、工房で真鍮の鍵盤ピンもピカピカに研磨します。
↑ バランスパンチングクロス交換
滑りが良くなるとタッチ+音色が明らかに良くなります。虫の被害があった赤いバランスパンチングクロスも全て新しいクロスに交換をしました。
鍵盤のクッションとなっているキーブッシングクロスも全て新しいクロスに貼り替えをします。古いクロスを綺麗に剥がしてから、全て貼り替えるのでなかなか時間が掛かる修理です。
↑ キーブッシングクロス貼り替え
1本の鍵盤につき、上下2か所にクロスが貼ってあります。
研磨・クロスの貼り替え・交換まで終わったら、鍵盤を筬に戻して鍵盤調整をします。
もう亡くなってしまった私の大先輩調律師さんは、鍵盤調整が本当に大事だということを言っておられました。今ではその言葉がものすごく理解できます。
↑ 鍵盤調整
鍵盤調整でタッチの半分くらい決まるといって良いかもしれません。それくらい大切な調整です。
白鍵と黒鍵も磨きあげたら、鍵盤部分は完成です。
あとは納品時にアクションと合わせて精密な調整をします。
アクションと鍵盤をバランスよく調整することで残り半分のタッチが完成しますので、納品時の調整もとても大切です。
・・・と、書くのはすぐなのですが、実際の作業はかなり神経使いますし、要領よく進めていく必要があるため、一筋縄ではいきません。こういう修理が得意な人はきっとかなりのスピードで修理できるのでしょうが、私は慎重派なので時間が掛かってしまいます😅
しかし、私がよく調律・修理しているイースタインより、ヤマハの方が全然修理がしやすいです。
イースタインのメンテナンスに慣れておいて良かったと、今になって実感しておりますが、
どんなピアノでもお客さんを満足させることができるように、今後も日々努力していきたいと思います!
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