70年前のピアノ大修理!
こんばんは!野川の丘ピアノです。
ここのところ、年代物のアップライトピアノ修理のご依頼が多くあり、特にこのブログを読んでお問合せ頂くケースが増えています。
まずはお見積りからお伺いして状態のご説明をして、ご依頼頂ければ調律・修理まで全て私の方で作業可能です。ご検討されている方はお気軽にお問合せ下さい。
さて、今年に入ってから長い期間をかけて修復していた年代もののカワイアクションです。なんと製造から70年近く経過しており、ほとんど音も出ない状態からの修理となりました。
こちらがお預かりしたアクションです。この頃ハンマーレールはちょっとデザインが変わっており、個人的にとても好きなモデルです。
しかしながら、経年劣化や虫食い・摩耗があり、かなり部品交換が必要な状態でした。
フェルト関係もかなり汚れてしまっています。
できればハンマー交換が望ましい状態でしたが、お客さんと相談した結果、オリジナルの部品のまま復活させてほしいというご要望もあり、今回は交換せずにファイリング(ハンマーフェルトを一回り削る)で対応することに決定しました。私としても古い部品は元々の質感がとても良く、オリジナルを活かすことも修理屋の仕事だと思っています。なんでもかんでも新しい部品に交換すれば良いというわけでもないのです。新しくなると音もタッチも良くなりますが、元々の音色とはまた違った仕上がりになりますからね。
とはいえ、劣化や消耗が激しい部品の交換が多いのでアクションを解体します。
ハンマー・ウィッペン・ダンパーを外してこんなにすっきりしました。ここからまずは清掃して埃やらカビを除去していきます。
レギュレーティングスクリューもちょっと触っただけで簡単に折れてしまう状態。。そのため熱処理して回せる状態にしなければなりません。折れてしまった部品は交換します。
折れてしまったスクリューは慎重に取り除きます。
交換完了です。
こちらはダンパーフレンジのセンターピン交換しているところでしたが、フレンジも真っ二つに割れてしまいます。
こうなるとダンパースプリングのコードも新しくしなければならないため、更に作業が増えます。とても根気のいる作業です。
ダンパーレバークロスも穴があき始めているので、クロスを貼り替えます。
フェルトカット専用のギロチンカッターでまっすぐにカットします。慣れるまでカットが難しいです。
白いクロスに変えました。綺麗になりましたね。
ダンパースプーンやダンパーロッドなど、接点になる金属をツルツルに磨きあげます。
タッチや音色、ペダリングに影響しますので必ず作業しています。とても良くなります。
ウィッペン・ジャックのセンターピン交換も必要です。この時代の部品は湿気によるダメージを受けやすく、ほとんどの部品がスティック(動かなくなる)していまいます。
センターピン交換と一緒にジャックスプリングも新しく交換します。トリルなどが劇的にやりやすくなります。
古い接着の除去が大変な場合もありますが、きちんと除去しなければなりません。
ハンマーのセンターピン交換もして・・・
バットの木部が膨張していることが多いので、ヤスリ掛けも行います。
センターピン交換完了です。
キーブッシングクロスも虫食いがひどかったために、良質なカシミヤクロスに貼り替えます。
クロスの質でタッチや音色も変わります。やはりピアノ修理では部品代は高くても良質な部品を使うことが大切です。
ハンマーもファイリングして古い弦溝をリセットし、形を整えてあげます。
なかなか綺麗に仕上がりました! 少し針を入れてフェルトをほぐしてあげます。針を入れることで音の伸びも良くなります。
写真を撮り忘れましたが、ブライドルテープも交換しています。アクションの写真中央付近に見える、赤と白のテープです。
これだけ部品交換してようやく普通に音が出るようになりますが、本体に合わせて調整も重要です。
アクションと鍵盤の納品時はお客さん宅で1日お時間を頂いて、パンチングクロス交換・鍵盤調整・アクション整調・調律まで全て作業しました。
修理後は信じられないほど良い音色に仕上がりました。全体的に経年劣化などは見られますが、やはり良い時代のピアノですので、本来の状態に戻してあげれば復活します。
お客さんにも喜んで頂き、全ての作業を終えました。
ありがとうございました!今後ともどうぞよろしくお願い致します。
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