イースタインU型修理③(70年前後経過のピアノが復活しました。)

こんばんは!野川の丘ピアノです。

 

お預かりしていたイースタインU型の続きです。

最後は鍵盤関係の修理です。

古いキーブッシングクロス(赤)を剥がしていきます。

この時代の接着剤は膠(にかわ)が使われており、剝がすのに少し時間が掛かります。

 

アイロンのスチームに濡れ雑巾を当てて剥がす方法もありますが、にかわで接着されているタイプの鍵盤の場合剥がしにくいので、私は一本ずつ蒸気を当てて剥がす方法で作業しています。

 

この年代の鍵盤は蒸気を当てていくと、かまぼこ(木部)も一緒に剥がれてしまいますので、接着し直す必要があり少し手間が掛かります。

 

なるべく接着剤が残らないように綺麗に剥がしていきます。(※右側が剥がした鍵盤です)

 

鍵盤1本につき、上下2か所にクッションのブッシングクロスが貼ってあります。

 

全て剥がし終えました。

 

貼り替える際の接着剤はオリジナルと同じように、にかわで貼っていきます。

 

粒のにかわを60度くらいで湯煎します。湯煎中はにかわの独特なニオイがキツイので、以前家族からクレームが入ってからは外で作業しています。。。

でも、にかわの粘度は自分で調整できるし筆で塗れるので、新しいブッシングクロスを貼る際、とても使いやすいです。古い楽器の修理には必須の接着剤ですね。

 

新しいブッシングクロスを穴に通したら治具で固定していきます。

 

裏側も貼り駒を入れて固定していきます。温度と湿度によりますが、ニカワだと接着時間が早めです。

 

クロスをカットするのにカッターも何種類か使います。少し前にギロチンカッターを自作しましたが、とても切れ味がよくてお気に入りです。

 

クロスを貼り終えました! 良質なカシミヤのクロスです。

 

鍵盤の先端についている部品(パイロットボタン)の頭が消耗しています。

 

黒鉛を塗りなおしておきました。ここもタッチに影響します。

 

そしていよいよ、納品・調整に伺わせていただきました。

鍵盤を収めるために鍵盤ピンを研磨して、虫の被害が出ていたパンチングクロス類を新しくしていきます。

このように形がいびつになってしまっています。

 

クロスが新しくなると、新品のように綺麗になりますね!

 

鍵盤を入れました。鍵盤調整という作業があります。

スムーズに上下運動ができるように、新しくなったキーブッシングクロスを調整します。

 

鍵盤のピンとブッシングクロスが新しくなると、見た目も綺麗ですね。

このあと、アクションの取り付け・調整と調律まで作業して、完了となりましたが、やはりこの時代のイースタインの音は素晴らしい・・・

70年前後は経過しているピアノですが、音の重厚感が違います。箱鳴りも凄いです。

お客様にもきっと、喜んで頂けたと思います・・・! これからよろしくお願いします。

 

こういったピアノはもう今の日本では作れないので、1台でも多く残していきたいですね。

今後もイースタインに限らず、年代物のピアノを中心にメンテナンスしていけたら良いなと思っています。

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