イースタインU型の修理①
こんばんは!野川の丘ピアノです。
ありがたいことですが、ここ最近は毎日お問合せが来ており、今後もスケジューリングやメール・電話対応などやることが山積みです・・・。
さて、新規のお客様からのご依頼で、イースタインU型の鍵盤とアクションの修理記録です。とてもイースタインを大切にされているお方で、これまでも年に一度は定期的にメンテナンスをされていました。
しかし、前任の調律師さんが引退されてしまったということで、今回ネットで探されて私のところにご依頼を頂きました。ありがとうございます!
ご依頼頂くまでに色々あったのですが、こちらのお問合せフォームにサーバーエラーが出ていたことで対応が遅れてしまい、お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。
こちらがお預かりしたイースタインのアクションです。イースタインオリジナルのハンマーレール(マホガニー系の色をした中央上にある長いレール)は、ネームプレートが付いており、一目見ただけでイースタインとわかるデザインとなっています。
このイースタインは製造番号がまだ無い時代のU型(工業規格JISの表示前)で、当時の腕利きの職人達が作り上げたピアノです。久々にイースタインのことが書かれている書籍「郷愁のピアノ」を開いてみましたが、1961年から製造番号がつけれたそうです。お客様によると今回のU型は推定70年前くらいのピアノとのこと。
ピアノがまだ高級品だった時代で使用されている材料は良質ですが、やはり全体的に部品の劣化はしていますので、慎重にお見積り・修理させて頂きました。オリジナルの部品をどこまで交換するかによって、仕上がる音色に影響がでます。
大きなお店やオーバーホールにこだわる調律師では、ピアノごと工房に引き取って響板・フレームの塗装修理から全弦張り替え、ハンマー・ダンパー・ウィッペン関係のフェルト・クロスまで全交換をお勧めされる場合が多いと思います。
もちろん、部品が劣化している以上交換しなければならないのですが、私の場合、残せる部品は残して使ってもらいたいという考えです。(※音大を目指されているなど、毎日3時間以上の激しい演奏をされる場合は別です。)
特にハンマーアッセンブリーの交換をする場合、オリジナルのハンマーと同等のフェルトでないと音質が全く変わってしまうこともあり、注意が必要です。
お客様も今のイースタインの音色を気に入っていらっしゃるということで、ハンマーはオリジナルのまま加工して整音することになりました。
ただ、ハンマーの先端は長年の演奏により潰れてしまっており、それなりに削り落とさなければなりません。
弦の溝もくっきりとついてしまっています。このハンマーは真ん中で弦を打っていたために三本の弦溝がついていますが、ネジの緩み等でハンマーがズレて弦を打っていた場合は2本しか溝がないことがあります。真ん中で打つように修正するために削り落として整形します。
このようにヘッドの先端を卵型になるように削ります。
削りすぎると音色が悪くなるため、溝はわずかに残すくらいにします。
写真を忘れてしまったのですが、この後少し針を刺してフェルトに弾力を与えます。
こちらはブライドルテープという部品です。写真のように赤い革がボロボロになっているため、全交換します。
今まで見たイースタインはどのピアノも革が劣化しており、白いテープ部分も手で引っ張るとちぎれたりします。ちぎれるとハンマーの戻りが悪くなり、音が出にくくなってします。
古いブライドルテープをカットします。
こちら、新しいブライドルテープです。
このように88本貼り替えていきます。
同時進行でハンマーのセンターピンという関節の部品を変えていきます。
イースタインはどちらかというと、スティックといって湿気等木部やクロスが膨らんで関節の動きが悪くなっていることが多いのですが、今回のU型はネジの緩み・摩耗の影響でセンターピンが抜けているか、かなり緩くなっているパターンでした。
フレンジという人間で例えると関節にあたる部分を外していきます。
古いセンターピンを抜きます。
リーマーでセンターピンが入っていた穴の大きさを調整して、適切な番手の新しいピンに交換します。
ハンマーに取り付けて大体、3~6gの力でフレンジが動くように調整します。
1本だけフレンジコードが切れてしまっていたので、新しいコードを貼ります。
このように本来はスプリングに掛かっており、バネの力を使って動かしているのですが、切れるとバネが使えずフレンジコード同様にハンマーの動きが悪くなります。
普通の白いフレンジコードになりました。マゼンタカラーが素敵だったのですが、残念。。。
機能的には問題ございません。
長くなりそうなので、次の記事に続く・・・
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