HORUGEL(ホルーゲル)修理開始!

こんにちは!野川の丘ピアノです。

なかなか作業ブログを書けなくてモヤモヤしていたのですが、ようやくホルーゲルの修理を少しずつ始めたので、ご紹介したいと思います。

 

実は私が専門学生時代に学生たちの手によってオーバーホールされたホルーゲルが学校にあったので、お目にかかるのが初めてというわけではありません。それでも実際に修理するのは今回が初めてということになります。

それだけ台数が少なく、古いピアノなのです。

外装は最近の鏡面艶出し塗装とは違い、カシューというカシューナッツから抽出された成分を原料とする昔ながらの塗装方法です。

当時は良い艶が出ていたはずなのですが、経年劣化によって全体的に白っぽくなり、艶はほぼない状態です。

しかしながら、当時の外装は装飾など大変こだわっており、よく見るととても高級感のあるデザインです。

外装部分は私が手を入れても良かったのですが、クリーニングのプロが身近におりますので今回はお願いしました。やはり毎日クリーニングをこなしているお方なので、塗装や接着に関しての知識・技術が豊富でいつも安心してお任せできています。仕上がりのクオリティはおそらく全国でもトップレベルと私は思っています。こちらは仕上がったらまたご紹介する予定です。

さて、本体はクリーニングのプロに任せているので、その間にアクションの修理を進めていきます。

このピアノは70年前に製造されたモデルで、あちこち虫食いやサビ、断線、部品の劣化で全く音が出せないような状態でした。

そもそも処分したいというお客さんから引き取っただけで、そのまま処分をする予定だったのですが、古いものが好きで調律師をやっている私はこのまま解体処分されてしまうのは残念でなりませんでしたので、思い切って修理することにしました。

できあがったピアノは、ひとまず置く場所がないので私の実家の和室に保管してもらう予定です。欲しい人がもしいれば、超格安で販売しても良いかなと考えています。部品交換は最低限演奏に必要なところを修理しておくことにします。(もちろん、ご希望があればハンマー交換などもオーバーホールも可能です。)

 

ひとまずアクション部品を外していきますが、全体的に劣化と虫食いが激しく、ほとんどのフェルト・クロスやスプリング関係の部品を交換する必要がありそうです。

こちらは革がボロボロになったブライドルテープ。

 

更にちょっと触るとポキっと折れてしまうバットスプリング…

 

バットフェルトは虫食いでほとんど無くなってしまっているパーツもありました。

 

ハンマーフェルトは弦溝が凄いです。前の持ち主の方はピアノ講師だったようですので、かなり弾きこまれていたのだと思います。

 

次にダンパーも外していきます。埃や汚れがすごいので、掃除もしなければなりません。

折れたバットスプリングが落ちてますね。。

 

ダンパーレバークロスはスプーンの穴だらけ。木部が見えてしまうほど摩耗しています。

これでは引っかかって音が出せなかったでしょう。1本だけ応急処置された跡がありますね。

 

ダンパースプリングが当たるパンチングも虫食いなので交換する必要があります。

 

次にウィッペンを外していきます。

関節部分のセンターピンはスティックしており、交換が必要です。

 

そして、ジャックスプリングもこのような状態。昔に担当されていた調律師が部品を変えないでスプリングを付け足した?ようです。これは初めて拝見しました。

パーツ類の分解が完了です。スッキリしました。

ここから部品交換を始めていきますが、交換部品が多すぎて時間掛かりそうです😅

仕上がりはどんな音になるかな?年内には音が出せる状態にする予定です。

~~ 続く ~~

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